MAD-X チュートリアル (4): トラッキングと誤差解析

  • chatGPTによるCERNスライドの自動翻訳・自動要約です.

  • 粒子の個別挙動を追跡する トラッキング (TRACK)と、 マシン誤差の付与と補正 について.


粒子トラッキング(TRACKブロック)

MAD-X では、個々の粒子の軌道を追跡することで、ビームの安定性や非線形性の影響を解析できます。

基本構文

TRACK, ONEPASS, FILE="track.out";
    START, X=0.0, PX=0.0, Y=0.0, PY=0.0, T=0.0, PT=0.0;
    RUN, TURNS=1000;
ENDTRACK;

主なキーワード:

  • START :初期条件の指定(1粒子)

  • RUN :追跡するターン数(線形加速器では 1でもよい)

  • FILE :出力ファイル名(位置・運動量などのログ)

  • ONEPASS :一周のみの追跡(直線加速器向け)


トラッキングの出力形式

出力ファイル(例: track.out ) は .tfs 形式で、粒子ごとの軌道データが保存されます。


誤差の付与(EALIGN, EFIELD)

MAD-X では、ビームライン要素に 配置誤差や磁場誤差 を加えて、現実的な条件を模擬できます。

例:四重極に横方向のずれ(アライメント誤差)を追加:

EALIGN, DX=0.001, DY=0.002, DS=0.0001, DPHI=0.0, DTHETA=0.0, DPSI=0.0;
  • DX, DY: 横・縦方向の位置ずれ

  • DS: 軸方向のずれ

  • DPHI, DTHETA, DPSI: 回転誤差(ラジアン)

ターゲット要素を指定するには:

SELECT, FLAG=EALIGN, CLASS=QUADRUPOLE;
EALIGN, DX=gauss(0.0, 0.1e-3);

磁場誤差の定義:

EFIELD, DKL=0.001;     // 強さ誤差(相対値)
SELECT, FLAG=EFIELD, CLASS=SBEND;

複数要素にランダムに誤差を加えることも可能です。


ビーム軌道の補正(Orbit Correction)

誤差を加えた状態でビーム軌道がズレるため、 補正器(コレクター)とBPMを用いた補正解析 が重要です。

コレクターとBPMの定義例:

BPM: MONITOR;
HK: HKICKER, KICK=0.0;

補正のステップ:

  1. SELECT, FLAG=ERROR, ... で誤差対象を指定

  2. EALIGN, EFIELD などで誤差を付加

  3. CORRECT コマンドで補正解析

  4. TWISS, ERRORS=TRUE で誤差を含めた解析

例:

CORRECT, MODE=MICADO, BPM=*, CORRECTOR=*;

Note

CORRECT により、測定値をもとにキッカー設定値が調整され、ビーム軌道を補正します。


この章のまとめ

  • TRACK を使って粒子の挙動を直接観測可能

  • EALIGNEFIELD により現実的な誤差条件を付加可能

  • CORRECT を用いることでビームの軌道補正が可能

  • .tfs 形式の出力は gnuplot や Python で解析・描画に活用できる