位置決めピン (1)¶
基本の使用方法¶
ピンの固定と脱着
基本構成: 一方を 固定 (圧入 or 軽圧入),もう一方を すきまばめ にして脱着可能とする.
例:m6やp6のストレートピンに対して、 穴は下側H7(ピッタリ),上側H8~H9(抜ける)、ような設計.
ピンには, 「取り付け側」 と 「位置決め側」 の2種類がある.
取り付け側は,基本は外さない.
位置決め側は,取り外しも可.ピンに横から押し当て,点接触で位置決めする場合もあり.
取り付け側は、"圧入"または "ねじ" (おねじ・めねじ)
位置決め側は、基本は圧入、サイドから押し付けで使用、など.
ストレートピン は対称・省スペース設計に有利. 最もオーソドックス な位置決めピン.
径が切り替わる「 段付きピン 」には, "大頭"と"小頭"の2種類がある.
段差で「止まり」がつけられる.異なる直径と公差(m6, p6, g6, etc.)がつけられる.
精度の高い穴加工( リーマ仕上げ )が必須となる(図面に記載するのを忘れない).
公差穴(H7/H8など)を正しく実現するには, 下穴ドリル+リーマ加工(の指示)が必須 .
ピン長さは挿入深さ+逃げしろを見込んで設計.
片側5 mm程度の挿入でも成立するが, 逃げ(+0.5〜1 mm)を考慮して穴深さを設計 .
底付きは厳禁.
ボルト締めとの併用も可能.ピンで位置精度,ボルトで固定.
穴の大きさ¶
記号: h7, H8, H9, g6 等.
穴とピン:
穴 : H7, H8, H9, H6
ピン: h6, g6, m6, p6
大文字と小文字: H7やh7等.公差の プラス・マイナス .
大文字:プラス公差
小文字:マイナス公差
サイズ表記の一覧¶
公差記号 |
対象 |
分類 |
用途・意味 |
備考 |
---|---|---|---|---|
H7 |
穴 |
基準(最も一般) |
基準寸法と等しい公差穴(0〜+15μm程度) |
リーマ仕上げが必要 |
H8 |
穴 |
すきまばめ(標準) |
少し余裕のあるすきまばめ(0〜+27μm程度) |
脱着を容易にしたいとき |
H9 |
穴 |
すきまばめ(緩め) |
H8よりもさらに緩く,頻繁な脱着や精度不要な嵌合に |
ガイド穴や固定不要部に |
m6 |
ピン |
軽圧入(中間ばめ) |
軽い圧入.固定性がありつつ加工容易 |
ピンを片側固定したい場合に適す |
p6 |
ピン |
しまりばめ |
かなりきつい圧入.半永久固定用 |
外れ防止が重要な場合に |
g6 |
ピン |
すきまばめ(軽) |
H7〜H9穴に対して適度なすきまを与えるピン公差 |
脱着が容易でピンが抜けやすい |
h6 |
ピン |
基準(標準) |
シャフト基準寸法と等しい(0〜−16μm程度) |
ストレートピンで多用 |
0/-0.01 |
ピン |
独自指定 |
g6よりややタイト.高精度のすきまばめ用途 |
製図時に数値で明示が必要 |
Note
穴の公差は通常「H7」または「H8」が位置決めピン用途で一般的である.
ピンの公差は「g6(すきま)」「m6(軽圧入)」「p6(圧入固定)」を使い分ける.
ピンと穴の用例 :
g6ピン + H8穴: 脱着できる位置決め .実験装置や治具向け.
m6ピン + H7穴: 標準、しっかり固定 (抜けなくはないが面倒).
p6ピン + H7穴: 半永久的な圧入固定 .