ポアッソン括弧による記述¶
ポアッソン括弧 ( Poisson bracket )¶
ハミルトン方程式 ( Hamilton Eq. ) の対称性をさらに向上させるために, ポアッソン括弧 ( Poisson Bracket ) を定義する.

もしくは,行列要素
を用いて,

ポアッソン括弧の性質 を以下である.
交換則

自身との Poisson 括弧はゼロ

線型性

定数との Poisson 括弧はゼロ

各変数 (位相空間の基底)との Poisson 括弧

位相空間の基底同士の Poisson 括弧

ヤコビ恒等式

ポアッソン括弧による正準変換条件¶
ポアッソン括弧を用いて正準変換であるかどうかを判定することができる. 以下のように,変換後のポアッソン括弧を調べれば良い.

ポアッソン括弧による時間全微分の表現¶
運動系の時間微分は以下のように表される.

例えば,時間に陽に依存しない (
) ハミルトニアン H の時間全微分は

となり, ハミルトニアンは時間的に変化しない ( エネルギー保存則 ).
ポアッソン括弧によるハミルトン方程式の記述¶
以上より, Poisson 括弧を用いて, Hamilton's Eqs. は,次のように表せる.

ポアッソン括弧と運動の関係性¶
ポアッソン括弧は 正準変換に関して不変 である.つまり,

全ての 運動は正準変換 である.ある点から別の点への移動
を考える.これは, poisson 括弧による正準変換条件を満たす.つまり, 運動という位相空間変換操作は正準変換 である.物体の運動は, 無限小の連続する正準変換 として表現できる.
生成子がGの無限小の正準変換に対して,ハミルトニアンが対称であれば, Gは保存量 である.
数値積分による,位相空間変換
は,一般に正準変換であるとは限らない. ( 一般の数値積分は正準変換でない (力学の運動としての基本条件を満たしていない) )